着ぐるみの恋
出会った次の日、早速、修二はカトレアへ……。
いてもたってもいられない、じっとしてられない…これが恋心とは、まだ気付いていない。
(有)仲田サービスは、この飲み屋街でも、あちこちの店に、おしぼりや観葉植物をレンタルしていた。
カトレア属するビル内でも、何軒か取引先があったけれど、このカトレアは、まだ足を一歩も踏み入れていなかった。
日頃の修二は大人しく、身のこなしも柔らかな男なので、この仲田サービスの代表がまさか、極道関係の人間であると、普通一般人には知られていなかった。
スーツ姿でビシッと決めた修二は、カトレアの前まで来た。
中に入って行くと、両壁が大理石で出来ている、長い廊下になっていた。
ドアボーイが立っていた。
「いらっしゃいませ!失礼ですが、ご新規のお客様でしょうか?」
「…あぁ…そうだけど…」
「誰か様の御紹介でしょうか?」
紹介?よわったな…紹介者がいんのかよ。
どうしたら…と、その時、咄嗟に答えてしまった。
「つきこの知り合いだ…」
「失礼しました、どうぞ!」