着ぐるみの恋
次の日、修二は、会社のデスクでボ~ッとしていた。
従業員が話しかけようが右から左…頭の中は月子一色。
修二は、生まれてこのかた初めての感情に戸惑った。
胸が…胃が…圧迫される、息をするのも苦しい…。
他に気付かれると、代表たるもの舐められてしまう。
修二、平静を…平静を装え……。
と思えば思うほど、深呼吸で息を整えなければ、息苦しくなってくる。
恋の重症患者…治せるのも、悪化させるのも、放置しとくのも…月子しだい…と月子は知らない。
ホルダーに立てられた携帯…修二はずっと凝視していた。
昨日教えられた月子の番号は、登録済み。
こっちからかけてみた所で…何話しゃいいんだ?
が…声だけでも繋がりたかった。
恋に冒された患者は、皆、母を求める幼児。
と、携帯が鳴いた!
ディスプレイに従業員の名前、何だよ!
「そんな事ぐらいで、イチイチ電話してくんな!」
電話は冷たく切られた。
またもや携帯が鳴く、が、今度はディスプレイに愛子、飲み屋のしつこい姉ちゃんだ、直ぐ様着信拒否。
だだっ子は、母しかあやせない。
その時、来た~ついに来た!