着ぐるみの恋
5人連れ…スーツ姿が3人、残りの2人はカジュアルな服だが、奇抜なシャツ…何処から見ても、誰が見ても…極道……ヤクザ……組関係……。
修二が聞いた。
「あの連中って、よく来るんだ?」
「この頃ね、最近、来始めたお客様なの」
「そぅ…組関係だよな?」
「そうね、私は席に着いた事ないんだけど、他の子がそう言ってたわ。あぁゆう人って、私、苦手…。ママに我が儘言って、お願いしてるの、ヤクザ屋さんのお席だけはごめんなさいって……」
?????
はぁ…何てこったぁ…修二は、苦い唾を飲む。
私、ヤクザ屋さんが嫌いなの…ってか、あんたの横に今いんのが、正真正銘のヤクザなんだよ。
太い釘で胸を打たれた修二。
月子を見た。
甘いムードの延長線上で、観音さんは微笑んでいた。
よかった…手首のサクラ…見えてなかった。
まだ気付かれてはいない。
修二は、シャツの袖口を両方、手の甲半分の所まで引っ張った。
取り敢えず……隠さねば………。