着ぐるみの恋
さぁ、この場で月子はどうするか……。
今、ここで試着も不可能…胸も背中も二の腕もメイクで隠してないし……それに…試着せずに買って貰ったとして…店で着れないし、着た姿、修二に見て貰う事も出来ないのだから……。
と、月子は口に手を当て、いきなり店から飛び出した。
???
修二も月子を追いかけ、店を出た。
残された店員、意味分からず。
「修二さん、ごめんなさい。さっきのお酒まわってきたみたい…気分が悪くなったの」
「大丈夫か?何処か喫茶店でも入ろうか?」
窮地は、どうにか凌げた。
喫茶で冷たい紅茶を飲み、二人はカトレアに向かった。
ドレスのプレゼントを拒否した月子…。
ど厚かましいホステスがうじゃうじゃうごめく中に…何と…今どき珍しく謙虚な女だと…修二は解釈した、勝手にいいように……。
それから連日連夜の同伴が始まった。
フランス料理、イタリアン、中華、寿司に日本料理…ありとあらゆる一流の店に連れて行き、一緒に店に入った。
カトレアの更衣室に貼られたグラフ……売上、同伴と…月子はいきなりトップに上り詰めた。