着ぐるみの恋
同席していた絵理子は知っていた。
状況の事実をルミ子ママに、月子にも話した。
確かに…美咲の言動には非がある、が、女性の歯を殴って折った、カトレアの商品に傷を負わしたのだ。
ルミ子は頭を抱えた。
月子は何度も修二に電話した。
ずっと留守電だ…修二はメールしない主義の男…だからアドレスも持たない。
何で?電話に出てくれないの?
私を思い、してしまった事なんでしょ?
もうこれで終わり?
もう会えないの?
カトレア出入り禁止なら、私…お店代わってもいいのよ…他の店に移ってもいい。
お願いよ、修二さん、電話に出てよ……。
ヤクザ嫌いの月子さんよ、もうこの辺で終わりにすっか……。
このまま何処まで行けど…あんたとはずっと平行線だもんな。
背の墨は…俺の魂の証明なんだよ、見せて嫌われんなら、今終わった方がいいよな。
出入り禁止ってか?
上等じゃねぇか、修二、ちょうどよかったな。
月子、まともな堅気の男と…どうか幸せになってくれ……。
もう諦めてしまおうと…修二は、自分を抑え付ける。
二人の旅は今始まったばかり……。
これからだよ……。