着ぐるみの恋
月子は一瞬にして血の気が引いた。
何処かに穴があったら入りたい、どんな穴でも入って行くわ、そして…そこからもう…一生出ないでしょう……。
立ち上がった月子は、その席から走って逃げた。
更衣室に行き、バックを持ち出口に向かう。
ボーイが追いかけて来た。
「気分が悪いので、今日は早退します。ママに伝えて…」
「大丈夫?一人で帰れる?」
「大丈夫です」
エレベーターに乗った。
箱の中で一人…蹲り泣いた。
上に行くか下に行くか指示のないエレベーターの中……月子が求めた穴……ここから出たくない。
誰か、この箱にぐるぐるロープ巻き、海の底に沈めて下さい。
望んで、病気になった訳ではありません。
好んで、サメ肌になった訳ではありません。