着ぐるみの恋
その頃、修二はあるキャバで飲んでいた。
キャバ嬢が甘ったるい声を出す。
「修二さ~ん、延長してもいいでしょ?」
「あぁ、好きにしろよ」
「うぅ~ん、もぅ~好きっ!チュッ」
と修二の頬にキス。
修二は煙草の煙吐きながら、頭の中は…月子…つきこ…ツキコ…TUKIKO………。
気を落としてるってか…元気ねぇってか…。
あの、お月さんのような明るさが消えているのか……。
優しい唇が曲がってる?
きらきら瞳が濁ってる?
修二はいきなり立ち上がった。
「会計してくれ、帰る」
「修二さん、何で?今、延長したばっかじゃん!もう取り消せないよ、もったいないじゃん!」
「いいから、幾らでもいいよ、取り敢えず早く計算しろや!」
もう誰にも止められない。
カトレアに急ぐだろう修二…月子のいないそこに………。