着ぐるみの恋


修二は、久し振りカトレアに来た。

カトレアは、修二にとって…観音像が置かれた本堂だった。

月子に会いたい、顔が見たい、やはり諦められない。

ボーイは修二を案内した。

ゆかた姿の中に、修二は月子を探す。

いない…どこにも…見当たらない。

  月子がいない。

暫くして、ルミ子が申し訳なさそうにやって来た。

「修二さん、お久し振りです。よく来てくれたわね。それがね…月ちゃん、さっきまでいたんだけど、気分が体調が悪くなったって、早退したのよ。本当についさっきの事、あなたがいてくれてたら、帰ってなかったと思うわ。今まで、ずっと待ってたのよ、修二さんを………」


    月子~



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