着ぐるみの恋


作った人の名札が付いた高級メロン…がバスケットに入っていた。

ん? その中には、市販の風邪薬に熱冷まし、うがい薬に、のど飴まで入ってる。

修二さん…私はいったいどうすれば?

こんなにも思っててくれたの…。

手さえ握った事ないんだよ。

風邪だなんて…嘘言ってごめんなさい。

でも、ゆかた祭りは後5日残ってるんだ。

どうしてもお店に出る訳にはいかないの。

何とか仮病続けないと…修二さんを騙し続けないと……。

私は風邪ひいてるんだ。

そう熱があるの、病人なの……。

月子は風邪薬を飲み、のど飴を口に入れた。

これは仮病じゃないよ、嘘なんか付いてないよ、と思いたかった。

月子は自分の両腕を見る……そこには認めたくない現実が、嫌でも瞳の中に映る。

神様、私に奇跡を下さい。

明日になったら、普通の肌に戻して下さい。

もうこれ以上、私に嘘を付かせないで……。

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