着ぐるみの恋
次の日、ディスプレイにまた修二が……。
「月子、身体の具合は?」
「まだ熱が下がらなくて、今日も休もうと思ってる……」
「そうか…病院行った方がいいんじゃないか?迎えに行こうか?」
「いい、大丈夫よ、一人で行けるから」
「そっか…今からさ、また30分後に下まで降りて来てくれないかな?」
「?」
「渡したら直ぐに帰るからさ」
ベンツをバックに修二、何やら風呂敷包みを持っていた。
「栄養つけなきゃな、これ弁当、はい」
それは、一流の料亭に作らせた三段重ねの重箱弁当だった。
「…修二さん…ありがとう…ゴホッゴホッ」
と月子は、演技で咳き込んだ。
奇跡は起こらなかった。
神様は、嘘つき月子で進めと仰るのですか?
もし、真実話し、あなたを悩ませ苦しましたらどうしよう。
あなたと一生会えなくなったら、どうしよう。
取り敢えずこのまま、嘘つき月子は女優を続けます。
そぅ、あなたが私を求めてくるその日まで……。