着ぐるみの恋


また次の日も、修二からの電話…これで3日連続だった。

「月子、病院行った?」

「えぇ…今日行って来たよ。まだ調子よくなくて、今週いっぱいはお仕事休んだ方がいいって、先生に言われたの」

「そっか、今からまた行くよ、下まで来て」

修二が、その日持って来たのは、真紅のバラの花束だった。

それも、ハンパな本数ではなかった、抱えきれないくらいの薔薇。

「ちょっと迷惑かな?とも思ったんだけど」

月子は大袈裟なぐらい、首を横に振った。

「うううん、迷惑だなんて、そんな事思わない、私、お花は大好きよ。部屋中がバラの香りになるわ、修二さん、ありがとう。でも…ね、もうこんな事してくれなくても…こんなにお金使わないで…私、大丈夫だから…だいぶ良くなってきたの、修二さんのお陰よ」

「そっか、なら良かった」

修二の満面の笑みが…針となり、嘘つき月子の胸に刺さる。

「今週いっぱいはゆっくりしようと思って…」

「うん、その方がいいや、じゃまたな、何かあったらいつでも電話してこいよ、飛んで来るからさ」

「ありがとう、修二さん…」

   ごめんなさい。

    修二さん。


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