小さな約束
約束の始まり
太陽が微笑んでいるような春の光の中
まだ少し肌寒く長袖が手放せない,そんな3月。
卒園と共に俺たちは大切な約束をした―――
「おいっ!護(まもる)!」
「どうしたの?智也(ともや)?」
「知ってるか?――ラヴィ・・・ラヴィ・・たしかラヴィエンヌってゆう白魔術」
「らゔぃえんぬ?シロマジュツ?」
どちらの言葉も幼稚園の子供には聞き慣れないものだった。
「しぃっ!ばか,声がでかいんだよ!」
智也が口に人差し指をあて,険しい顔を作ると護はごめん,と下を向いて謝った。
「なんでも恋に効くらしいぞ,だから――」
智也は一気にそこまで喋ると声を落とし,
「やってみないか?――実衣(みい)に」
「実衣ちゃんに!?」
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