小さな約束
「だから声でかいって。姉ちゃんから聞いたんだけどさ,どうやら,一人のことを二人が好きな場合,二人共フラれる確率が高いんだと。そこで!この白魔術の出番ってわけ!」
まるでジャジャーンと効果音が出るようなポーズを取り,智也は言葉を続けた。
「この白魔術を使えば,どっちかはフラれずに済むんだってよ!まぁ片方はフラれちまうんだけど」
「それがどうしたの?」
よく分からないといった表情をした護に智也はだから,と言い,
「俺たちの状況によく似てるだろ?」
そうなのだ。
護と智也は物心ついた時から実衣と3人でよく遊んでいた。いつからそうなったのかわからないが,気付いたら周りの女の子と実衣を比べるようになっていた。
それが友情と言う名の好意ではなく,異性を意識した好意であることに気付いたのは智也の一言だった。