trick Or trёat!
「つーか俺、今誰とも喋りたくねぇから。」
冷たく突き放し
俺は再び歩き出す。
けど、相手は諦めない。
それどころか
驚くべき言葉を俺に投げて来た。
「待って!颯!」
「んだよ、うるせぇな!」
「心配なんだよ!あたし、颯が心配なの!」
「何でお前が俺の心配する訳?お前は、俺の女でも何でもねぇだろ!」
そこで、鈴華はぐっと唇を噛み締めた。
今にも零れ落ちそうな涙が、目の縁に揺れる。
…やべぇ。
さすがに今のは言いすぎたかも、と思い
「………悪ぃ、」
と口を開くと、鈴華は
「あたし…っ!」
何かを決心したように、俺の前に踏み込んで来た。
その瞳があまりにも真剣そのもので、俺は思わず身構える。
すると、涙目の鈴華の口から滑り落ちたのは、想像すらした事ない言葉だった。
「…何でわからないの…?」
「……は?」
「こんなに好きなのに…っ、」
心臓が止まった。
いや、止まりそうになった。
だって、今―――。
「…好き?お前が……俺を?」
「そうだよ!ずっと!ずっと好きだった!だから…っ、」