trick Or trёat!
「あー、」
一瞬悩んだものの
さすがにハロウィンを知らない訳もなく。
「そういや、もうそんな時期か。」
そう答えた俺に、紅葉は腕組みして溜め息を吐き出した。
「颯(ハヤテ)って本当、そうゆうの疎いよね。」
「疎いんじゃねーよ!興味がねーの!」
「はぁ…。これだから颯はモテないんだよ。」
カチーン、と頭の中で鳴ったゴング。
はい、スイッチオーン。
戦闘態勢万端!
「んな事言ってっけど、お前だってモテねーじゃねぇか!」
「はぁ!?颯と一緒にしないでよっ!」
「そんなんだからモテねーんだっての。」
「そんなんって何よ!これでも今年2人に告白されてるんだから!」
「2人って、どうせ小学生にだろーが!」
「な…っ!」
「はいはーい、そこまでー。」
まるでバチバチと音がしそうな睨み合いに、仲裁に入ったのは
「ちょっと!邪魔しないでよ、ツリー!」
俺の幼なじみである、樹(イツキ)だ。
ちなみに、ツリーとは樹のあだ名。
樹木の『樹』でツリー。
なんとも安易っつーか、単純つーか。
ついでに言っちゃえば、そのあだ名を付けたのは紅葉だ。
…うーん、センス皆無。