trick Or trёat!


「あー、」

一瞬悩んだものの
さすがにハロウィンを知らない訳もなく。


「そういや、もうそんな時期か。」


そう答えた俺に、紅葉は腕組みして溜め息を吐き出した。



「颯(ハヤテ)って本当、そうゆうの疎いよね。」

「疎いんじゃねーよ!興味がねーの!」

「はぁ…。これだから颯はモテないんだよ。」


カチーン、と頭の中で鳴ったゴング。


はい、スイッチオーン。
戦闘態勢万端!



「んな事言ってっけど、お前だってモテねーじゃねぇか!」

「はぁ!?颯と一緒にしないでよっ!」

「そんなんだからモテねーんだっての。」

「そんなんって何よ!これでも今年2人に告白されてるんだから!」

「2人って、どうせ小学生にだろーが!」

「な…っ!」


「はいはーい、そこまでー。」


まるでバチバチと音がしそうな睨み合いに、仲裁に入ったのは

「ちょっと!邪魔しないでよ、ツリー!」

俺の幼なじみである、樹(イツキ)だ。



ちなみに、ツリーとは樹のあだ名。

樹木の『樹』でツリー。
なんとも安易っつーか、単純つーか。

ついでに言っちゃえば、そのあだ名を付けたのは紅葉だ。


…うーん、センス皆無。





< 3 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop