trick Or trёat!
何を言うかと思いきや、樹の口から飛び出したのは。
「どうやら、由井は魔法を使えるらしいよ。」
なんて、バカ発言。
「…え?」
もちろん、紅葉は何の事かわからず。
「てめぇ!マジ覚えてろよ!!!」
俺は、一人赤っ恥。
二人きりになった病室に聞こえるのは、爆笑する樹の遠ざかる足音。
アイツ、ぜってぇ沈める!
「ね、何の事!?」
「な、何でもねーよ!」
「何でもなくないでしょ!」
「本当、何でもねぇから!!!」
ぐあああああ!
やっぱ、樹に言うんじゃなかった!
案の定、紅葉は唇を尖らせふくれっ面。
ついには
「もういい。」
なんて言う始末。
「だから、本当気にする事じゃねーし。」
「じゃあ何であんなに慌てたの?」
「…いや~、その、」
「ほら!何かあるんじゃない!」