嵐のような君を愛してる
とりあえず小腹が空いていたのでお互いにポテトとドリンクを注文して席に着く。

君はここのフレーバーポテトが大好きだったね。



「袋1つにしたほうがいいよね?」
そう言いながら君はおもむろに包みを開けはじめた。
2〜3ヶ所で購入した『頼まれ物』を1つにまとめようという作戦らしい。


「ホチキス外すの?」

いかんせん透けたりしないように、どこの袋も黒くてしっかりと封が閉じられていた。

「大丈夫。」

自信満々な答えと一緒に不敵な笑みが返ってきた。

このとき僕は君のなんともいえなくバランスのいい八重歯に初めて気付いた。
「かわいい」…また思ってしまった。

僕は一体どうしてしまったんだ…!


君は器用にホチキスで封された手に乗るくらいの紙袋を開ける。

そこに他のお店で買った『頼まれ物』を入れ込む。

「どうすんの?」

僕は君の指先に大注目した。

「え?この穴にまた針を通して曲げれば元通りでしょ」

『当たり前』の如く笑顔で答える。

『ホチキスの針を1度外してまた元通りに戻す』
今までそんなことやろうとも思ったこともなかったし、やってる人も見たことない…なんて不思議な発想を持った人なんだろう。


「う〜…難しい!!」
そりゃそうだろう。
こんなの普通道具をつかうもんだ。手でできるもんか。

苦戦しながらもなぜか諦めようとしない。

かなり集中しているようで、こっちも力がはいる(笑)


「…できたー!」
数分後、満面の笑みがでた。

まぶしいくらいの笑顔に八重歯がよく似合う。


「すご〜い…!」
僕は心からすごいと思ったこ。
正直できると思っていなかったのに、君はやってのけたのだから。



「あ〜。ポテト冷めちゃったね」
「あらら。」



すっかり冷えきったポテトだったが、君の笑顔をみながらだからかとてもおいしく感じた。
< 21 / 31 >

この作品をシェア

pagetop