嵐のような君を愛してる
「もしもし?」


そう発せられた君の声は、緊張しすぎて忘れてしまった。


初めて話すにも関わらず、電話の向こう側の君はとても輝いて思えた。


もちろんメインは商売の話だったのだが、そんなものは10分くらいで終わってしまった。


気付くと2時間が過ぎていた。

一体何を話していたんだろう…(笑)
大学やバイトのこと、そして彼女についても話したかな。


「寝なくていいの?」

そう切り出されたとき、会話が終わってしまうのをとても寂しく感じた。


「うん。大丈夫。」

ほんとは朝からバイトだったけど、思わず嘘をついてしまったほどだ。

「君は?」
「大丈夫。明日は撮影ないから。」

よく聞けば君は学生なんかではなく、フリーで働くカメラマンであることがわかった。


以前は正社員としてスタジオで勤務していたが、忙しすぎて体調をくずして、今はフリーでゆったりやっているという。


なかなか面白い人だなぁ。

会話に夢中になり、次に気が付いたときには4時間もの長電話となっていた。


空には太陽が昇りかけて、春の匂いをかすかに漂わせていた。
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