あなたに会いに
ちひろには、去年の秋から付き合っている2才年上の彼氏[拓也]が何より大切で大好きだった。


しかし、躾に厳しい両親からは学生なんだから今は恋愛より学業を優先するように再三、拓也と別れるよう言われていた。



障害や邪魔があればある程に二人は反発し余計に別れまいと常日頃から話していたのだ。



ところが、年明け早々、つい数時間前までラブラブなメールをしていた拓也から突然別れを宣告され連絡が途絶えてしまった。


ちひろは呆然とするばかりで何が何だか理解できず、2日間食事もとらずに泣きくずれ半狂乱になっていた。



今思えば付き合っていた人と別れたくらいなら死ぬほどの事ではないのだが、その時のあたしには大きなショックだった。



拓也の存在は何より大切でかけがえのないものだったから。


大好きの絶頂期に突然ぽーんと谷底へ突き落とされたようで頭で理解する前に心が壊れてしまったのだ。


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