あなたに会いに
涙で携帯の画面が滲んで文字が上手に打てなかったが、何度も間違えながらやっと完成した。



《もう拓也の事忘れなきゃいけないのに忘れられないよ》




ちひろは、また無視されるかな?って恐る恐る返信したが今度もすぐに返事が返ってきた。




《別に無理に忘れなくても好きなままでいいやん》




そのメールを見たちひろは携帯を抱き締め声をひそめて泣いた。




《ちひろの気持ちに答えることは出来なくても友達やろ?無理に忘れなくてもいいからメールも迷惑じゃないよ》




拓也からまたメールがくるなんて…まして、こんなに優しい言葉が並ぶなんて想像してなかった。




でも拓也なら…。
拓也だからこんなメールができるんだろうって納得してしまえる思いやりがいっぱいつまったメールだった。



このメールが気持ちを落ち着かせ、ちひろを穏やかに戻すきっかけになった。



ちひろは、この日のメールを保護した。


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