あいらぶゆー2
「…み、…沙美」


「…ん。…あ…れ?」


体を揺さぶられ、目が覚めると、私はいつの間にかカット台の前に座っていた。


…もう、コトは終わっていて。目の前の鏡が全てを物語っている。


「…」


「…驚いたな。途中で起きるかと思ったら、ずっと寝てるし」


…もったいない。


楽しみにしてた愛斗との貴重な時間なのに


ずっと寝てたなんて…。


「おい、何むくれてんの」


「…金返せ」


「ハハッ、だからいつもいらねーつってんじゃん。亜沙美は特別だから」


特別って言葉にドキリとしたけど、そう言った後も愛斗はこっちも見ず、片付けをしている。


ほんと、口ばっかなんだ。その大事な客をほったらかしにしてたくせに…。


「払うよ。だからもうちょっと時間ちょうだい」


「ダ~メ。オレ忙しいの。亜沙美も忙しいんだろ?最近来てなかったし」
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