地下秘密基地.
夕暮れは早いもんで、すでに外はだいぶ暗い。
謎の穴に入った純平は、下半身、胴体、顔と見えなくなった。
穴の側面にはしごが埋め込まれてるみたいで、純平はそれを使って降りて行く。
「純平、大丈夫?」
亜希が声を掛けた。
「おう、大丈夫やで!」
トンネルの中みたいに、純平の声が響いた。
〈ドーン…。〉
と、響いた音がしたと思ったら、
「ついた!」
純平が下についた様だ。
俺は穴を覗いたが、真っ暗でほとんど見えない。
深さ1mぐらいならギリギリ見えそうだが、より深い純平のいる当たりは全く確認できない。
純平は、落とした自分の携帯を拾う。
…しかし、その瞬間。
地上から約4m下にいる純平だけが気付いた。
真っ暗でほとんど見えなかったが、体で感じる。
「あれ?」
と純平は思った。
みんながいる地上からではない。
暗闇の中、真横から微かに風を感じたのを……。
そして、
純平は手を伸ばした。
……ない。
普通に考えればあるはずの壁がなく、横に道が続いている。