愛たくて~あいたくて~
それ以来母さんは誕生日を祝うことをしなかった



もちろん未菜の誕生日はやる


でも俺は一言も自分の誕生日を祝わって欲しいとは言わなかった



『愛斗の誕生日は主人の命日なのよ』


母さんは切なそうに笑いながら葵を見て言う

『愛斗のお父さんの?』



『そう…あの子は愛斗はきっとずっとお父さんが亡くなったのは自分のせいだと思ってるのよ…亡くなって一年後の誕生日にお祝いしようと準備してたらしないって言って部屋から出てこなかったのよ』


『そうなんですか…じゃあ今年もしないんですか?』


『そうね…本当はしたいわよでも愛斗にとって誕生日はお父さんが亡くなった日だから』


母さんは笑いながら寂しそうに続ける


『本当は祝わってあげたいわよ毎年おめでとうって心で言ってるのよ…主人が亡くなったのは愛斗のせいじゃないから…あれは事故だったのよ』


『教えてもらってもいいですか?』


葵は母さんに聞いてた






母さんは少し笑って言う


『愛斗は知らないから…葵ちゃんも知らない方がいいと思うんわ』




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