ラーラ
 御主人が入院して一ヶ月ほどはなんら変わりなく、裕次郎さんは、もしかしたらと懸命に看病しましたが、急に容態が悪くなり亡くなられました。
 
 病院の先生から知らされて覚悟はしていましたが、その落胆振りは見ていて気の毒になりました。もちろん私も心優しかった御主人を失い、とても辛い気持ちになりました。でも裕次郎さんがそばにいてくれたお蔭で頑張る事が出来ました。そして私は此れからは裕次郎さんに一生を委ねて生きる事にしました。

 裕次郎さんは悦子さんの家族に手助けしてもらい、御主人のお葬式を無事にやり遂げました。遣り切れないのは四方八方手を尽くしましたが、裕次郎さんの母でも有る一人娘さんから連絡が届く事はありませんでした。

 私が思うには、お母さんはよくよくの事情があられたのでしょう。決して自分独りだけが幸せになり喜ぶ人はいないと今でも思っています。

 時を同じくして、悦子さんが帰ってきました。何があったのか、そのいきさつは、いまだに分かりませんが寂しく大都会から帰って来ました。それでも裕次郎さんにとってこれ以上、心のささえになる人はいません。

 
 打ちひしがれた裕次郎さんも、いつしか悦子さんと逢っている内に案の定、見る見る元気になっていきました。

 そして、いつしか二人は当たり前のように愛し合うようになりました。誰が見てもうらやましくなる程で誰の前でも平気で「悦子さん」「裕次郎さん」と呼び合うので我家の周りの人様もほほえましく見守っていました。

 もちろん悦子さんの家族も喜んで二人を応援され、私もやっぱり二人は人様の良く言う”生まれた時から赤い糸で結ばれていた”のだと確信し、とても嬉しくなりました。

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