その男☆ナルシストにつき!!
「違うよ。遊ぼうと思えば、誰でも捕まるし。」


彼女もいるしね。


突っ込んでやりたかった。


どうせ、誰のことだか分かんないとか言うのは分かってるし。


「じゃあ、来なくてもいいじゃん。」


無表情で七瀬の顔を見て言ってやった。


「伊吹に会いたいから来たんだろ。」


真顔で言わないで。


急におかしいんじゃない?


「あっそ。」


冷たくはぐらかすしかない。


だって、自分でもビックリするくらいドキドキしちゃってて。


気づかれたくない。


「なんだよそれ?」


ムスッとした。


「あたしに会いに来たんじゃなくて、昼間、城金兄と何を話したか聞きたかったんでしょ?変な事話されないように。」


チラッと七瀬の顔を見た。


「話せないのは、伊吹の方だろ?…いいんだぜ?ネットに写真UPしても。」


不適な笑みを浮かべてる。


やっぱり、からかって反応見て楽しんでるんだ。


そう分かったら、急に胸が苦しくなって。


切ないような…痛みにも似てる感覚。


どうしちゃったんだろう?


からかわれてるって分かったら、ムカツクはずなのに。


「ところで、映画の撮影はいつからクランクインするの?」


映画が終われば、こんな意味も分からない感情ともおさらばできるし。


これ以上、七瀬に関わらなくてすむ。


「来週から。…じゃ、オレ帰るわ。」


立ち上がると、普通に帰っていく。


「えっ?!」


思わずビックリして立ち上がった。

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