その男☆ナルシストにつき!!
スラッとした背の高い美人。


髪は短いけど、モデルかな?


うつむいて涙を拭いてるから、顔がハッキリと見えない。


「忙しいにしては、連絡も取れないなんておかしいでしょ?」


「いまに始まった事じゃないし…。」


「そうだけど…。」


「大丈夫だよ。誰よりも好きなのは莉南(りな)なんだから。」


やっぱり彼女だ!!


ほら、あたしなんかにかまってるから、浮気してるって疑われてるでしょ?


「誰よりも好きなのは」ってことは、他にもいるんじゃん!?


って、あたしだったら突っ込んでるね。


七瀬の場合、その他大勢だから。


…あたしも、その中に入っちゃってるよね?


急に罪悪感が襲ってきた。


いままでの事を考えたら、その他大勢の浮気相手と変わらない。


痛くもないはずなのに…


ズキリ


キスマークが痛く感じる。


「でも、不安で仕方ないの。」


「大丈夫だから、もう泣かなくていんだよ?連絡ないのも安心してるから。莉南なら、何でも分かってるから大丈夫だって。」


2人の会話が静かな廊下に響いてる。


帰りたい。


でも、うずくまった体が硬直して動かない。


会話を聞きたくなくて、両手で強く耳をふさいだ。


ポタン…

ポタン…


罪悪感で苦しいだけなのに、不思議と涙が止まらなかった。

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