その男☆ナルシストにつき!!
「なんでもない。ちょっと目が疲れただけ。」


笑ってごまかした。


「眼精疲労は、職業病みたいな感じですもんね。」


「ホントだよね。」


笑いながら仕事再開。


でも、心のどこかに七瀬のメールが引っかかってる。


「宮元いる?」


「はい?」


顔を上げると、入り口には珍しい人が立ってる。


「ちょっといいかな?」


「は…はぁ。」


なんだろう?


藤原さんが用事って。


怒ってるわけでもなさそうだし。


内線ですむ用事じゃないのは分かるけど…。


藤原さんの後について廊下に出た。


「今回はありがとう。」


「なんですか?あたし、お礼言われる事なんかしてませんけど。」


慌てて否定した。


「七瀬のこと。」


「七瀬ですか?」


「役作り手伝ってくれたおかげで、現場でも評判良くてね。」


なんだ、そのことか。


緒羽先生が大喜びだったことでしょ?


「別に…。あたしが原作の熱烈なファンだったってだけですから。…七瀬から聞いたんですか?」


「ちょっと噂が耳に入ってね。コソコソ2人で密会してるって。」


「密会だなんて!!」


誰?そんなバカみたいな噂流したの。


密会って言われれば…そう見えるかもだけど。


元は、七瀬が奴隷とか言い出したわけだし。


あたしは、イヤイヤ従ってただけで。
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