その男☆ナルシストにつき!!
「どうも初めまして。あた…私(わたくし)、ラウンドロックの宮元と申します。」


ペコリと頭を下げた。


「ラウンドロックって、七瀬の事務所の人?」


「ああ。」


七瀬はそれ以上は言わなかった。


黒崎の奥さんて言えばいいのに。


亀本は、何か嗅ぎ付けたいのかもだし…。


まぁ、事務所の人間って分かってれば、城金兄の時みたいにはならないだろうけど。


亀本の場合、どこでなにを嗅ぎ付けるかなんて分かんないし。


「マネージャーが、監督との打ち合わせで来られなくて、急遽私が同行させていただいたんです。」


ニッコリと嘘をついた。


現場マネージャーがこられなくて、事務所のほかの人間が来てもおかしくないし。


「言わなくても、そうだろうと思ったよ。彼女にしては地味すぎるしね。いかにも事務所の人ですって感じだし。」


笑ってるし。


地味でごめんなさいね。


でもよかった。


地味でいかにも事務所の人って感じで。


変に誤解されなくて。


「それじゃ、撮影あるんで。」


「前評判いいみたいだし、頑張れよ。」


笑顔で七瀬の肩を叩くと、そのままどこかに行ってしまった。


亀本の後姿を見ながら、一気に肩の力が抜けた。

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