その男☆ナルシストにつき!!
苦しかったのに。


暗くて冷たい水の底でもがいてて、やっと外に出られて呼吸できたみたいに。


軽くてジンジンと暖かくなってく。


「ありがとう。」


その言葉が精一杯だった。


しばらく、2人で沈黙したまま泣き続けた。


「連絡してあげれば?ボヤいてたよ。撮影状況の確認連絡もしてこないって。意味がわかんなかったけど、それって、伊吹から連絡して欲しいってことでしょ?」


そう言いながら、あたしのバックの中から携帯を取り出して差し出した。


「…そっか。七瀬のヤツ連絡させたくて、連絡してこなかったんだ。」


今頃、イラついてる姿を想像すると笑えてくる。


だって、1人でトイレも行けなかった寂しがり屋が。


頑張って連絡待ってると思うと、可愛くておかしくて。


忠犬ハチ公を想像しちゃう。


『マキに変なこと言わないで!!』


送信。


♪♪♭~♪


『一緒?オレ、呼ばれてない。』


すぐに返信が来た。


『呼ぶわけないじゃん。連絡ないから。』


イジワルだ。

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