その男☆ナルシストにつき!!
「ううん。別居じゃない。あたしね…。」


いまさら緊張?


ちゃんと気持ちの整理はついてるはずなのに。


のどの奥で言葉が詰まってる。


「なんだよ?ハッキリ言えよ。」


ムスッとしないで。


「うん。あたし、黒崎とは別れない。別れるんだったら、七瀬と別れる。…っていうか、二度と七瀬に関わらない。だから、七瀬も関わらないで欲しい。」


あんなに晴れ晴れした気持ちだったのに。


こんなに重たいのはナンデ?


「どうして?」


本当に驚いてる。


「みんなを不幸にしてまで、幸せになんかなれないでしょ?」


冷静に言っておきながら、泣きそうになってるのはなんで?


七瀬と出会ったときから、今日までが頭の中をグルグル回って。


自然と涙が出てくる。


「みんなって誰だよ?」


「あたしと黒崎はね、契約結婚なの。」


「契約結婚?だったら、黒崎さんは別れても不幸じゃないだろ?」


「違うの。」


マキが結婚する日、社長に呼び出されたこと。


差し出された1枚の契約書。


あたしと黒崎が別れれば、マキの結婚生活もどうなるか分からないこと。


七瀬に順を追って説明した。


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