その男☆ナルシストにつき!!
頭まで布団をかぶると、力強く目を閉じる。


コン…コン…コン…


やっぱり、ドアのほうで音がする。


まさか、怪奇現象?


恐る恐る布団から頭を出した。


ドアには、確かに人影が。


「だれ?」


泥棒?


「…き。」


微かな男の声。


ゆっくりとドアに歩いた。


「だれ?」


「ぶ…き。…伊吹?オレだよ。」


「黒崎?!」


どうして仮眠室に?


急いで鍵とドアを開けた。


「宿直だっていうから、仕事帰りに来たんだよ。」


「そうだったの?ごめん。普段、この時間は誰も来ないから。」


「だろうな。オレも初めて来たし。」


そう言いながらベッドに座った。


「急用でもあった?」


黒崎の前に立った。


「いや…夫婦の営みでもしようかと思ってね。」


ニッコリ笑いながら、あたしの両手を持った。


「冗談言ってないの。」


呆れちゃうし。

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