その男☆ナルシストにつき!!
「伊吹?」


少し驚いてる。


「ダメなの。このままじゃ、傷ついちゃうから。今以上に、七瀬を好きになっちゃう。」


ごめん。


悲しくないのに、涙が止まんないや。


「好きになったら傷つくの?」


そっと手で頬に伝う涙を拭いてくれる。


「心が壊れちゃうから。七瀬の心も壊しちゃうから。あたしは、今までの自信たっぷりの七瀬でいてほしい。」


お願いだから。


もう忘れさせてよ。


「もう、心は壊れてるよ…。」


切なそうに笑った。


「あたしには、それを修復することは出来ないの。最初で最後のお願い。好きだったら、これ以上は七瀬の心を壊さないで。」


深く頭を下げた。


ベッドに落ちていく涙は、甘い蜜を流し出してるみたい。


「…………分かった。」


顔なんか見られなかった。


重たく苦しいような声。


それだけ言うと、七瀬は仮眠室から出て行った。


甘い蜜が心に張り付いて。


一晩中泣いても、取れてはくれなかった。







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