その男☆ナルシストにつき!!
お礼はナニ!?
あれから1ヶ月…七瀬には会ってない。


元々、あたしには関係ない部署だから。


相変わらずの地味な毎日。


「あれ?佐井はどこいった?」


近くにいたヤナちゃんに聞いた。


このヤナちゃん。


アイドルオタクで元引きこもり。


パソコンはハッカー並の技術者。


見た目はノホホンとした、小太りの人のよさそうなお兄さんなんだけどね。


「さっき、芸能部に行きましたよ。」


「はっ?芸能部に何の用事なワケ!?」


「今日はファイズのメンバーが全員揃ってるらしくて、サイン貰いに行きました。」


「ファイズのサインだ!?仕事放り出して?」


ファイズは人気のアイドルグループ。


忙しすぎて事務所に全員揃うのは珍しいけど…。


サインなんて、ミーハーするなっつうの。


「なんか、ヤフオクで全員のサインが揃ってると高く売れるからって。」


「ヤフオク…。私的なファンじゃないのね。」


完全に呆れた。


まだ私的ファンなら納得できたかも。


「芸能部に呼び出しかけます?」


「大丈夫。緊急じゃないから、あたしが行って来る。」


「分かりました。」


やれやれ…。


芸能部には行きたくないんだけどな。


あそこは華やかで、地味なあたしは浮くからイヤなんだけど。


渋々、芸能部に向かおうと廊下を歩いてた。


「先輩!!見てください。」


佐井が色紙を抱えて、デジカメを掲げながら走ってきた。

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