その男☆ナルシストにつき!!
「そうかもね。でも、宮元は自分の事なんかより、人の幸せを考えたのよ。」


ホント。


単なるお人よしね。


「前に、それらしいことは言ってたけど。妊娠なんて嘘までつくかよ?!」


七瀬のボルテージが上がってきた。


さっきまでの沈みきった七瀬の顔に、表情が戻ってきた。


「七瀬だって、宮元を諦め切れなかったでしょ?だから、宮元なりに考えて、七瀬が前に進めるように嘘をついたの。」


「どうして。」


「あのコ、バカだから。いつまでも自分なんて、くっつく事の出来ない人間なんか見てるより、好きな人には、幸せになって欲しいんでしょ?」


「なんだよそれ?」


「言ってたわよ?もし、あの約束がなかったら、七瀬と付き合ってたって。」


「伊吹が…?」


「そうよ。まさか、私が七瀬に本当のことを話すなんて思ってないから、本心じゃないかな?…今だから言えるみたいな。」


「じゃあ…。」


「仕事はキチンとやってよね。」


ニッコリと微笑んだ。


「藤原さん。ありがとう。」


そう言って頭を下げると、慌ててどこかに行こうとした。


「待って!!宮元は今夜1人で家にいるはずよ?」


まったく。

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