その男☆ナルシストにつき!!
「それだけ?」


パッと七瀬の顔を見た。


「あと、渡したいものがあって。」


ポケットの中から、一枚のチケットを差し出した。


「これ、マキとかのライブの?」


「そう。この日、伊吹にどうしても見て欲しい。伝えたいことがあるから。」


「伝えたいこと?」


「ああ、これで最後にするから。」


「最後?」


「伊吹のしがらみが何もなくなったら、オレと付き合ってくれますか?」


真剣なんだけど、どこか優しい笑顔に嬉しくなって。


でもうなずけない。


約束は、なくなるものじゃないから。


「あたし…。」


「答えはライブの日に聞く。考えたいだろうから。もし、付き合ってくれるなら来て欲しい。…来なかったときは、キッパリと諦める。」


それだけ言うと、チケットを置いて帰っていった。


テーブルの上に置かれたチケットを見つめながら、答えは決まってるのに、いまさら迷ってる自分がいた。








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