その男☆ナルシストにつき!!
エントランスには、先に藤原さんが来てて。


それ以外は人はいなくて。


まぁ、普段からここに来る人は少ないけど…。


ソファに座ってコーヒーなんか飲んじゃってるし。


なんでくつろいでるかな?


こっちは、言いたいこといっぱいあるのに。


「話ってなに?」


あたしの顔を見て、表情ひとつ変えないとは。


昨日のこと、なんとも思ってないのかな?


「あの、どうして七瀬に話しちゃったんですか?」


「ああ、結婚のこと?本当のこと話して、仕事が順調になるんだったら、私はいいと思ったから。」


「そんな…。もし、誰かに漏れたらどうするんですか?」


初めてかも。


藤原さんに、こんなに意見をハッキリ言えたの。


「漏れると思う?七瀬が宮元が困るようなことをすると思ってるの?」


「はい。だって、あたしの答えは決まってますから。」


みんなが新しい道を考えててくれるのは嬉しいけど。


甘えるわけにはいかないし。


「私からしてみればね、利用できるものは、感情だろうと何だろうと利用して相手を動かさなきゃなの。言葉のひとつで自信を持ったり、いい演技が出来たり。それが今の七瀬は宮元ってだけ。」


「じゃあ、バレたらどうするんですか?」


「ないわね。宮元が妊娠しましたってだけで、仕事が出来なくなるくらいよ?バラしたらどうなるかも分かってるはずだし…。」


「じゃあ、あたしが七瀬を嫌ったら?」


「それでも言わないわね。七瀬はね、嘘をつかれてても宮元をかばったのよ?そんな七瀬が言うはずなんかないし。」


かばってくれてた…?


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