その男☆ナルシストにつき!!
ステージ裏には、渋い顔をしたアニキが待ってた。


「ごめん…オレのせいだ。まさか、そんな約束してるなんて知らなかったから。七瀬と宮元さん達から、亀本の目を逸らせられたらと思ったんだ…宮元さんは必ず来るから。」


申し訳なさそうな顔をしてつぶやいた。


「分かってる。」


返事をしてるように見せかけて、自分に言い聞かせてるだけ。


ステージ裏には、マキちゃんの歌声が響いてて。


会場内の興奮がこっちまで押し寄せてきてる。


伊吹…


来ててくれ。


グッと手を握り締めた。


「今日は、新人オーディションにちなんで、ある意味?新人のスペシャルゲストが…よろしく!!!」


マキちゃんの声に、会場の歓声が一気に高まった。


バ~ンっと爆音が鳴り出して。


「行くか?」


アニキがニッコリと笑った。


「ああ、行きますか。」


一歩、ステージへと踏み出した。


ライトが眩しくて。


目がくらんで、客席が見えない。



< 271 / 310 >

この作品をシェア

pagetop