その男☆ナルシストにつき!!
「それはすいません。お詫びに、関係者パス貸しますよ。」


首から下げてたステージパスを差し出した。


「いいんですか?」


ラッキー!!!!


「ただ、ライブが終わったら、取材があるのですぐに返して下さい。」


「はい!!」


元気よく返事をしてパスを受け取った。


「あと、席はマスコミ席しか使えません。」


えっ?!


七瀬に渡された席に行けないってことでしょ?


…でも。


「分かりました。」


入れるだけでもいい。


七瀬の伝えたいことが聞ければ。


あたしは、ちゃんと答えを出したんだから。


一礼して急いで裏口に回ると、息を切らせながら会場に入った。


関係者席は、思ったより遠くて。


なんとか人物は分かる程度。


まあ、リハーサルにマスコミ入れてるだろうし。


関係者は遠くても関係ないんだね。


本当は、あの席に座って間近で見たかったけど。


七瀬の声だけがあたしには聞こえるよ。


その曲を選んだ理由も分かってる。


しっかりと受け止めたよ。


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