その男☆ナルシストにつき!!
七瀬のあの映画のタイトルが書かれてる。


「試写会に、あたしが?」


もう、一般に試写会やるんだ。


「そう、協力してくれたんでしょ?だったら、デキを確かめて来なさいよ。」


そういうことね。


七瀬を見るのは、正直まだ辛いけど…。


見たくないって言ったら、嘘になるかな?


「…分かりました。ありがとうございます。」


チケットを受け取ると、一礼して仕事に戻った。


明日の夕方か…。


それまでに、心の準備できるかな?


なんて考えてたのに。


次の日になっても心はギシギシと音を立ててた。


七瀬が来るわけじゃないし…。


でも、大好きな人にフラれた後に、一緒にいなきゃいけないような?


それに似た感覚。


「ふぅ~。」


なんて、ため息つきながらイスに座った。


劇場の中は、人がいっぱいなのに。


隣の席だけ空いてるし。


遅れてくるのかな?


全然違うことを考えて。


自分の気持ちを落ち着けるしかない。


アナウンスと共に、段々と暗くなって。


スクリーンには、七瀬が映ってる。


始まって10分も経ってないのに。


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