その男☆ナルシストにつき!!
「あっ…うん。良かったんじゃない?」


頭の中で考えたはずなのに。


うまく話せない。


それなのに、七瀬は冷静で。


あたしだけが、緊張してる。


「そっか。まぁ、冒頭から泣いてるくらいだしな。」


シッカリ見てたわけ?


「あれは、大好きな作品が、映画になった喜びで。」


慌てながら、変ないいわけしちゃってる。


「作品ねぇ…。」


なんか、引っかかる言い方だな。


「それより、七瀬こそ何やってるの?」


誤魔化せ!!


「藤原さんがさ、これからも、仕事で付き合いがあるだろうから、気まずくならないように話して来いってさ。」


そういうことか。


確かに、これからも仕事で何かあるかもしれないし。


てっきり、会わせてあの日の事でも、ほじくり返そうとしたのかと思った。


藤原さんに限って、それはないか…。


「そう。気にしなくていいのに。」


普通に答えてるはずなのに。


どこか?


寂しい口調になってる。


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