その男☆ナルシストにつき!!
「さっき、亀本から聞いたんだ。ライブの日、遅れてきたから入れなかったって。亀本がパスを貸してあげたって。」


ギュッと肩を掴んだ。


「…どうして……今になって…。」


「来たんだよな?!」


肩を掴む手に力が入ってる。


「…。」


顔をそむけるしか出来ない。


だって、来たからどうなるってわけじゃない。


もう終わったことなんだし。


「どうなんだよ?!来たのか?来たんだろ?」


声が大きくなって、一層、手に力が入ってる。


「……行ったよ。だからどうしたの?」


ボソリとつぶやいた。


「どうして、言ってくれなかったんだよ!!」


「どうしてって…もう、終わったことだったし。言い訳しても仕方ないと思ったから。」


「言い訳なんかじゃないだろ?本当は、藤原さんが見つけてたんだよ。週刊誌のライブの記事に伊吹が写ってるの。」


「嘘でしょ?」


だったら、なんで聞いてこなかったの?


「人混みの中で、写ってるのが小さくて確信がなかった。だから、試写会の日に藤原さんが確認して来いって。」


「じゃあ、どうしてちゃんと聞いてくれなかったの?」


遠まわしすぎなんだよ。


もっと、ハッキリ言ってくれればよかったのに。


< 292 / 310 >

この作品をシェア

pagetop