その男☆ナルシストにつき!!
「怖かったんだよ。ハッキリと面と向かってノーって言われるのが。」


「なにそれ?男らしくないな!!」


怒ってるはずなのに。


胸の奥から少しずつ暖かくなってく。


「……こんな時に言うなよ。」


モゴモゴと口を動かしてる。


照れてる?


バツが悪い?


両方かな。


自信たっぷりの七瀬が、怖かったなんて。


ちょっと笑える。


でも、七瀬も恋愛には臆病な所があったんだ。


「まぁ、そういうことだから。」


七瀬の手をどけると、クルッとドアに振り向いた。


もう、事実が分かっただけでいいでしょ。


あの時には戻れないんだし。


お互い新しい時間がある。


七瀬への感情が、完全に復活する前に行かなきゃ。


今度は泣いたら、どうにもできそうもないから。


ドアノブに手をかけた。


「今度は、オレが答えに来た。」


後ろからギュッと抱きしめた。


「なにが…?」


体も心も停止。


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