その男☆ナルシストにつき!!
「大丈夫です。雨の平日なんて、遊園地に来るのはほとんどいませんから。」


「お礼なのに、また気を使わせちゃったね。」


「あたしも、遊園地に来たかったですから。」


ニッコリ笑うと、傘を差しながら歩き出した。


予想通り人もまばらで。


雨も小雨になってきたし。


思いっきり遊ぶにはいいかも。


「最初は何に乗りたい?」


城金兄が笑顔で聞いてきた。


その笑顔を独り占めしていいんですか?


しかも…今日一日。


「やっぱり、絶叫系でしょ!!」


元気よく答えるけど、緊張しちゃうから目線だけは城金兄を見ていない。


「えっ?最初からハードだね。」


引いちゃった?


「嫌いですか?」


「そうじゃないけど…。」


「絶叫系なら、大声出してストレス発散できるじゃないですか。嫌いなヤツの名前叫んだりとかね。」


相手が城金兄じゃなかったら、絶対に弟の名前叫んでるね。


「なるほどね。」


でも、調子に乗って8回連続はまずかったか。


「大丈夫ですか?顔色悪いですよ。」


睡眠不足なのに、余計に疲れさせちゃったかな?


「大丈夫。宮元さんて、三半規管強いでしょ?」


「もしかして、酔っちゃったりとかしました?」


「少しね。」


「どこかで休みましょ。」


「平気だよ。せっかくの時間がもったいないよ。」


そっか。


毎日時間に追われてるから、ゆっくり楽しめないのか。


「じゃあ、水族館行きましょ。」


「そうだね。」


水族館ならゆっくりできるだろうし。

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