その男☆ナルシストにつき!!
「うるさいな。七瀬。」


関わりたくないのに、なんで今こんなヤツに会うわけ!?


「人に女遊びどうこう言ってて、自分は不倫ですか?」


なんでコイツが知ってるの!?


「気分転換に連れ出しただけ。」


「さすが専門家。マスコミ対策の常套(じょうとう)文句だね。」


「そんなに疑うなら、お兄さんに聞いてみれば?」


「聞いたよ。全く同じ事を言ってた。」


そっか、兄弟なんだから情報は早いか…。


「だったら、イヤミ言う必要ないでしょ?」


「イヤミ?人に文句言っておいて、よく言うよな。」


絶対この間の事、根に持ってるでしょ!!


なんて執念深いヤツ。


「文句じゃなくて、本当の事でしょ!?」


「どこが本当のことなんだよ。」


ヒートアップしてきた。


「全部。」


あたしもエンジンかかっちゃった。


「ちょっといい男に相手にされたからって、調子に乗るな。」


「誰が?いつ?どこで?調子に乗ってるって?」


「黒崎さんも可愛そうに。地味そうに見えて、実は相当な男好きとはな。」


グッと顔が近づいてきた。


「アンタなんかと一緒にしないで!!」


顔近づきすぎだし。


ムカつくけど…顔はきれいなのが余計にイラつかせる。


ドキン…

ドキン…


なに緊張してんだ?


たかが七瀬を相手に。


「本当は、好きなんだろ?アニキが…。」


囁(ささや)きながら、段々と顔が近づいてくる。


壁と観葉植物で身動きできない。


ドキン!!

ドキン!!

ドキン!!


耳の奥から、心臓の鼓動が聞こえるくらい緊張してる。


ヤバイ。


この距離って…


キスされる!!!!


ギュッと目をつぶった。

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