その男☆ナルシストにつき!!
人がせっかくコンビニまで行って買ってきたのに。


言葉にならない声で、ブツブツと文句言った。


「だって、ソース持ってこいって言うから。」


怒りをこらえながら、ふてくされた。


「持ってこいとは言ったけど、買ってこいとは言ってない。昔でいうところの、お隣さんに醤油を借りるようなものだ。」


誇らしげに言うなよ。


「うちはお隣じゃないですから。」


電車で15分くらいだけどさぁ。


「どっかの広い屋敷の中だと思えばいいだろ?」


「電車で15分が?!」


「タクシーで来なかったのかよ?」


七瀬の眉間に、ピクリとシワが入った。


「タクシーでいくらかかると思ってんのよ。」


「金の問題じゃないだろ?…お前もいちよう女だろ?」


な…なによ急に。


危ないって心配してくれてるわけ?


「だったら、こんな時間に呼び出さないで。だいたい、なんで七瀬が黒崎の行動知ってるわけ?」


「ソースがないと、トンカツ食えないから。黒崎さんは、藤原さん達も一緒に飲みに行くってご本人の藤原さんから聞いた。」


そこかよ!!


藤原さんに言うなって文句言うのもおかしいし…。


もう、諦めるしかないの?


言い返せない。


「じゃ、あたし帰る。ソースもあるしいいでしょ。」


「なに言ってるかな?電子レンジで温めろよ。」


テーブルの上のお昼に作ったトンカツを指差した。


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