その男☆ナルシストにつき!!
「あっごめん。あたし、この原作者の大ファンで。ひと通り本は持ってるんだ。」


「意外だな。地味なお前が恋愛小説とか。」


「失礼な!!緒羽(おとわ)先生の作品は基本は恋愛メインだけど、ファンタジーとかも書くから好きなの。しかも、この作品が一番人気あるんだよね。なにしろ読み終わった後に、絶対に主人公の尚吾(しょうご)に恋しちゃうくらいカッコイイんだから。マキも大好きで尚吾に恋したって言ってたし。」


眠気なんかどこかに行っちゃった。


だって、大好きな本が映画になるなんて。


嬉しくてワクワクしちゃう♪♪


「オレが尚吾役なんだけど。」


「は?」


耳を疑った。


台本の配役のページを見ると、本当に尚吾役で名前が載ってる。


「藤原さんがピッタリだからって…。」


ふ~じ~は~ら~!!!!!


七瀬がこんなにカッコイイワケないでしょ?


遊び人は似てるけど…。


「いやいや!!ちゃんと原作読んだの?」


ここは冷静に聞いておこう。


「小説は好きじゃないんだけど、役を掴むためにチラッとね。」


「はぁ~…。」


出てくるのは大きいため息のみ。


確かに台本に書き込みされてるけど、ファンから見たら????な書き込みが多々。


「なんだよ、そのため息。」


「だって、緒羽先生のイメージだと、大御所俳優の杉河優(すぎかわすぐる)の長男の悠平(ゆうへい)がイメージって言ってたけど。」



「スケジュールが合わないんだと。映画2本撮影中でスケジュールが取れないんだとかって話だけど。で、2番候補で緒羽先生が押したらしい。」


「やっぱり…。そういう理由になってるか。」


頭の中に、2年前のゴシップが甦ってくる。

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