その男☆ナルシストにつき!!
あたしが楽屋で会った時、尚吾のモデルの基本は城金兄って聞いた記憶が…。


「ねぇ、城金兄にオファーはなかったの?」


なんとなく聞いてみた。


「はぁ?」


瞬時に顔が曇った。


「だって緒羽先生は、城金兄がモデルみたいに言ってたし。」


バンッ!!


テーブルに箸を叩きつけると、ジッとあたしを睨みつけた。


なんか…ヤバいこと言っちゃった?


城金兄がモデルなら、役作りしやすいだろうし。


目をパチクリさせて固まる。


「結局、アニキか…。」


きっと、ビックリして固まってなかったら聞き逃したと思う。


それくらい小さな声でつぶやいた。


「アニキかって…?」


そういえば、いつも七瀬は城金兄の事になると怒ってた気が…。


兄弟喧嘩したとか?


勘違いとはいえ、猫の件で怒られてふてくされてるとか?


スッと七瀬は立ち上がると、あたしの持ってた台本を勢いよく奪って


バシンッ!!!


力いっぱい床に投げ捨てて、部屋に入っていこうとしてた。


「ちょっと待ってよ!!なに怒ってるわけ?」


テーブルから立ち上がると、七瀬の後姿に問いかけた。


「オレはアニキの代役じゃない。」


はき捨てるように小さくつぶやいた。

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