その男☆ナルシストにつき!!
「やっと起きたかって?」


まだ半分寝ぼけてる。


「人が帰ってきたら爆睡してた。」


「じゃあ、この毛布は七瀬が?」


「ああ。てっきり寝込みを襲って欲しいのかと思ったけどな。」


まったく、毛布掛けてくれて優しいんだか?


ひどいヤツなんだか?


「そんなわけないでしょ?!」


パチンと目覚めのスイッチが入った。


「オレも寝ている女を襲うほど、不自由してないんでね。」


「そうですね。」


本当のことだけに、認めるしかない。


「でも寝込み襲いたくなるくらい、寝顔はかわいいな。」


あたしの隣に座ると、耳元で甘く囁いた。


ボンッ!


顔が赤くなったのは分かった。


顔だけじゃない。


囁かれた耳から、体中を熱が駆け巡ってる。


どうしていいか分かんないよ?!


だって、人のこと散々地味とか冴えないって言ってたのに。


急に可愛いとか言われると、どう反応していいのか?


分からなくなるじゃん。


それとなくソファの端に移動。


だって、心臓がドキドキ鳴っちゃってて、七瀬に聞こえそうなんだもん。


「で、なんで呼び出したわけ?」


甘い雰囲気に流されないように、話題を変えるしかない。


「DVD見ようと思って。」


そんなことで会社を早退させないでよ。


心の中で呆れ返ってる。

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