その男☆ナルシストにつき!!
「もしもし?どうしたの?」


「カゼだって?大丈夫なのか?」


「どうして黒崎が知ってるの?」


「佐井から連絡あってさ。伊吹がカゼ気味で早退したって言うから。」


「あぁ…単なる寝不足だったみたいで。」


笑ってごまかした。


まさか、嘘ついて七瀬と会ってますなんて言えないし。


写真の話も、奴隷の話も言えるはずなんてない。


誤解されるのが分かってるから。


「そうか。たまにはゆっくり休めよ?!」


「うん。黒崎もね。忙しいのにありがとう。」


電話を切ると、画面を見ながら


「ごめんなさい。」


小さくつぶやいた。


黒崎も心配してるし、今日は早く帰るか。


リビングに戻ると、明らかに不機嫌そうな七瀬。


「人がせっかく弾いてやったのに。電話かよ?」


「あ…うん。黒崎からだったから。」


「本物のご主人様ってワケね…。」


イヤミなのかしら?


「まぁ、そういうことだから帰るね。」


バックを手に持つと同時だった。


ギュッと七瀬があたしの腕を掴んだ。


「黒崎さんのどこが良くて結婚したの?」


真っ直ぐにあたしを見ながら聞いてきた。


視線が痛くて、目が見れない。


「どこがって…夫婦の秘密。」


笑って誤魔化した。


言えるはずなんかなかった。


----あの日、マキの結婚話が出た時。


あたしと黒崎が、社長室に呼び出されたことなんか。


そして、社長の口から出たあの言葉を---。

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