その男☆ナルシストにつき!!
「意外ですね。」


笑顔で答えた。


それしか棘のない言葉が出てこないし。


「けっこう遊んでいるように見えるけど、淋しがり屋でさ、誰かといないとダメみたいで。よく1人暮らしできているって親とも感心しているくらい。」


パッと頭の中に、ソースの事が思い浮かんだ。


もしかして、1人でご飯食べたくなくて、ソースがないことにして呼び出したって事?!


それだったら、使いかけのソースが捨ててあったのも分かるような気が。


「そんなに淋しがり屋なんですか?」


確認はしておかないと。


「うん。少し前に、ホームレスと一緒に住んでたくらい。」


「ホームレスと?!」


衝撃的過ぎて、目が丸くなった。


「たまたま冬の雨の日でさ、家の前でホームレスのおじさんが雨宿りしてたんだ。ちょうど、俺もここに来てて。帰り際に傘をあげたんだけどね。しばらくして七瀬が出てきたらしくて、寒そうで可愛そうだからって仕事見つかるまで泊めてたらしいよ。」


城金兄が傘をあげたのは納得できる。


でも、あの七瀬が仕事見つかるまで家に泊めるって考え付かない。


「お兄さんだって優しいじゃないですか。傘をあげるなんて。」


七瀬に関しては、認めたくなくて触れたくない。


「そんなことないよ。」


笑っているけど、十分優しいですから。


「七瀬は、たまたまその時だけじゃないですか?」


笑顔で突っ込んだ。


「そうでもないよ。最近は宮元さん来ているからいいけど、ちょっと前までは、誰かしら住み着いていて。インパクトに残っているのは、ホームレスのおじさんと夜中にヒッチハイクしていた男の人を連れて帰って、家が見つかるまで泊めていたとかね。いつも誰かが住み着いていたかも。」


だから、彼女が来られなかったんだ。


納得できた。


それなら彼女もこられないし、連絡も適当に入れてれば心配されることもないしね。


「今の世の中にしては、勇敢ですね。」


言い換えれば、無用心だけど。

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